地学・トピック9 2007年の世界の主な地震の震源位置の観察と考察

[初期掲載 2010年 3月]
目次
1 いい加減な世界地図
2 地震の調べ方
3 地形地域と地殻・マントル境界深度の図式的モデル
4 2007年の世界の主な地震
5 2007年の主な地震の震源深度概括
6 2007年の主な地震の震源位置の観察
7 考察1−地震の分類
8 考察2−地殻上部層地震(地震殻地震)の原因の推定
9 まとめ




1 いい加減な世界地図
 世界を1枚の平な紙に地図で表現しようとすると、地球は球で、地球表面は球の表面なので、形・面積・方角のすべてを正確に平面に表せないことは広く知られています。特に広域で形を正確にすることは無理です。そこで、世界地図を作るとき、面積を正しくとる方法、中心から各点までの方位を正しくとる方法などの特長ある投影方法が種々考案されてきました。

 地図の投影方法の歴史に詳しいわけではないので、 次のいい加減な投影方法がすでにあるのか良くわかりません (簡単な方法なので、多分だれか考えた済みだと思いますが、欠点も非常に多いので、教科書などではみたことがありません)

 後述のように、地震の震源位置のデータが緯度、経度の数値で示されているので、これを直交座標にプロットするのは容易です。そこで、これに合わせて、緯線を水平線で、経線を鉛直で現し (ここまでは有名なメルカトル図法の考え方と同じです) 、赤道上の経度1度の長さと各経線上の緯度1度の投影長をそろえて、経緯線を直交線として投影する (ここはメルカトル図法とは考え方が根本的に異なります) 図法が可能です。この図法に名前があるか否かも当然わかりませんが、つけるとしたら、多分「方眼図法」になるのではないでしょうか。

 実際に地図を作るには、経緯線を引いただけではだめで、最低でも、海岸線の記入が不可欠です。既存の地図の経度15度緯度10度の枡目の中の海岸線の形をフリーハンドで、「方眼図法」の対応する方眼の中に模写するという、いい加減で原始的な方法で世界地図を作ってみました。原始的かつ、非効率的な方法なので、作るのに、1週間強かかってしまいました。

 ともかく、このような投影方法、形の記入方法で、海岸線と世界の海溝の位置を記入した世界地図を作ってみました。



図1 いい加減な世界地図(世界の海溝)
(赤道上の経度1度の長さと各経線上の緯度1度の長さが同じ)


 この図には、理科年表から拾った各海溝の名称を右側欄外に付けておきました。この地図は形、角度、距離などは全くいい加減です。



2 地震の調べ方
 「地震」は、大変大きなテーマで、それ故に、これを扱う方法は、無限にあるといって良いでしょう。

 ここでは、ごく短期間の(1年間の)、世界中の規模の大きな地震の震源の位置を観察し、考察することで、地震の謎に少しでも近づきたいと思います。

 「地震」が起きるのは、世界では実はかなり限られた地域の中だけということが知られています。島弧ー海溝の地域や、陸弧−海溝の地域や、(大洋中央)海嶺や、大陸内の山脈中などです。

 最近では、「プレート・テクトニクス」の考え方で、「沈み込み帯」とか、「衝突帯」とかで考察される場合が多いようですが、私は、これまでもあちこちで、断片的に表明してきたように「プレート・テクトニクス」には、大いに疑義があると考えていますので、このような考え方はとりません。

 原点に立ち戻って、「地殻(内で起きる)」地震、「マントル(内で起きる)」地震ということに、注目したいと考えます。ただ、地殻とマントルの境界であるモホ面の詳細なデータというのは、おそらく、存在しないと思われます。

 私のような素人でも容易に手に入る資料としては、日本列島の陸地についての等深線図(参考文献4)が精一杯で、世界のデータは全くありません。

 そこで、乱暴ですが、大地形で、そこの、おおよその地殻の厚さを図式的に決定して、それで、地殻地震とマントル地震を区分しようと考えました。地殻の厚さとマントルの厚さは比較にならないほど大きいので、乱暴なこのよえな方法でも、大きくは間違いは生じません。ただ、2つに強引に分けてしまうのは、あまりに乱暴なので、中間に(実際にそういうものがあるか否かはとわず)「地殻・マントル境界領域」を設定して、この範囲の地震を「地殻・マントル境界地震」という中間的なものとして扱うことにします。


3 地形地域と地殻・マントル境界深度の図式的モデル
 前節で述べた、大地形による震源位置の区分を表1のように決めます。


表1 地殻内地震とマントル内地震の判定基準
 震源の平面的位置により次のように規定する。

  (海山群と海台は海嶺扱いとする)

(ロシアのカムチャツカ半島、アメリカのアラスカのアラスカ半島、 メキシコのテワンテペク地峡からパナマまでの中米地域は、 大陸の一部だが、これらは「島弧」扱いとする)


 この判定基準で、「地殻」内の地震を「地殻地震」、「マントル」内の地震を「マントル地震」、「地殻?」とした、「地殻・マントル境界領域」内の地震を「地殻・マントル境界地震」と呼ぶことにします。



4 2007年の世界の主な地震
 

理科年表(参考文献1)のデータに、地図を見て判定した震源位置の地形地域分類と、表1に示した地殻とマントルの図式的区分などを加えた表を作成し、これを表2−aから表2−dに示します。


表2−a 2007年の主な地震(その1)[ 1月 1日から  4月 1日(21時15分)までの地震]

表2−b 2007年の主な地震(その2)[ 4月 1日(21時18分)から  7月 18日までの地震]

表2−c 2007年の主な地震(その3)[ 7月 21日から 9月 28日(1時代)までの地震]

表2−d 2007年の主な地震(その4)[ 9月 28日(13時)から 12月 末までの地震]





5 2007年の主な地震の震源深度概括
 2007年の主な地震の震源深度を横軸に、地震数を縦軸にとって、どの深度の地震が多かったかを示す頻度グラフを作成してみました(図2)。地震は700km弱の深度まで起きていますが、この図は100kmまでのデータを取っています。これを見ると、60km付近までの相対的に浅いところで頻度が高く、特に10kmのグラフの飛び出しは顕著です。




図2 深度別の頻度分布


 深度の刻みが小さすぎると扱いが面倒なので、この頻度グラフの状態から、0から100kmの中を、適宜区分し、100kmより深いところは50km刻みで、表3の深度帯を設定しました。

表3 震源深度の深度帯
  1. 0-6km
  2. 7-15km
  3. 16-26km
  4. 27-36km
  5. 37-56km
  6. 57-100km
  7. 101-150km
  8. 151-200km
  9. 201-250km
  10. 251-300km
  11. 301-350km
  12. 351-400km
  13. 401-450km
  14. 451-500km
  15. 501-550km
  16. 551-600km
  17. 601-650km
  18. 651-700km

 そして、この深度帯ごとの頻度を今度は棒グラフで示してみました(図3)。


図3 深度帯別の頻度分布


非常に浅い6kmまでの地震は少なく、7kmから地震が多くなっています。7−15kmの深度帯と16−26kmの深度帯の2つの深度帯のデータ数は合わせて121個で、全体220個の55.0%に達します。

 震源深度が7km−26kmの地震が大変多いことが明らかになりました。また、57kmより深い地震は、特定の深度で、頻度が高くなる傾向は希薄で、深度によらず、同じような頻度で、最深部まで地震が発生しているといえます。7km−26kmの浅い深度の地震と、57km−700kmの深い地震は、起きている場所が異なり、また、深さに対する変化の状態もことなります。

 


6 2007年の主な地震の震源位置の観察

6−1 国・地域・海域別の頻度分布
 地震の発生カ所を平面的にどの地域で多く、どの地域で少ないか明らかにする一助として、国・地域・海域別の頻度グラフを造ってみました(図4)。ただし、この区域分けは、経緯度で震源位置を特定して、地図上で、その点が含まれる、または、近いと思われる国、地域、海域を、見かけで決めたもので、正確なものではありません。



図4 国・地域・海域別の頻度分布


 この2007年では、インドネシアと、その周辺で起きた地震が非常に多かったことが明瞭です。ただし、地震の被害の大きさは、地震の頻度と必ずしも比例的ではないので、この年の最も大きな被害地震はペルーで、8月15日に発生した地震で、この地震で、500名以上の方が亡くなっています。

 世界的に見ると、ちょうど太平洋とインド洋に挟まれた、東南アジアから、オセアニア北部の島々やその付近での地震発生が非常に多くなっています。
 


6−2 地震タイプ別の震源深度の頻度分布
 前述のように、地震を「マントル地震」、「地殻地震」、「地殻・マントル境界地震」のように分けました。そこで、各地震タイプでどの深度の地震が卓越しているかを見るため、タイプ別、深度別頻度グラフを作ってみました(図5)。


図5 2007年の地震タイプ別、深度別頻度分布

これを見ると、当然のことながら、浅い、7-26kmの頻度の高いところの地震はほとんど「地殻地震」で、深い57km以深の地震は100%「マントル地震」です。



 
6−3 マントル地震の震源分布の傾向
 深い位置で発生している「マントル地震」の全体としての深度に対する出現の傾向として、概ね深度によらず似たような出現頻度を示していることが大きな特長です。ただし、上部では若干頻度が高くなっています。ただ、図5で明らかなように、「地殻地震の頻度の高い部分の地震数」と比較すると、この高い部分でも、地震数は相当少なくなっています。

 地震の震源の広がりを1つの「構造」ととらえると、「マントル地震発生域」は、地殻、マントルや地殻内のシアル層、シマ層といった、地球表面付近の「同芯球状構造」 (単純には「水平層構造」) と、明らかに斜交しています。地殻にある部分も含めて、この構造を、普通日本では「和達・ベニオフ帯」と呼んでいることが多いようです。

 表2の地震表の中で「マントル地震」を、地形地質区域ごとに、並べ替えて表4に示しました。また、これから、地形地質区域ごと、深度帯ごとの頻度分布グラフを作ってみました(図6)。なお、この図のタイトルでは、地形地質区域を単に「地形」 と表現しました。


表4 2007年の主な地震の内、マントル地震の地形地域と震源深度



図6 マントル地震の地形別、震度別頻度分布

 「マントル地震」が起きているのは、沿海、島弧、海嶺、陸弧です。ただし、「海嶺」は、島弧型海嶺のところで、大洋中央海嶺や、ハワイのような大洋中の独立型海嶺のところでは、この表では、「マントル地震」はありません。 また、陸弧以外の大陸地形、大陸高原、大陸平原、大陸内山脈、大陸地溝帯の所や、大洋底の海盆の地形のところにも「マントル地震」はありません。

 「マントル地震」の分布を示した図7と、「地殻地震」の分布を示した、後掲の図9を比べると、「マントル地震」の発生範囲のほうが、かなり狭くなっていることが明瞭です。また、「マントル地震」の発生場所と「海溝」の位置との関係が非常に密接であることもわかります。「海溝」の大陸側の島弧−沿海の部分や、「海溝」を伴う大陸縁陸弧や、「海溝」に沿う島弧型海嶺−沿海の部分で「マントル地震」は発生しています。


図7 マントル地震の震源分布図

 世界で最も深い「マリアナ海溝」の「チャレンジャー海淵」でも、水深は10920mで、11km未満です。「海溝」は地殻表面のせいぜい10km強までの「浅い」構造にすぎません。一方、表4の中で最深の震源深度は、676kmです。地表の浅い構造と、650kmより深いところまでに達するマントル内の構造が密接に関係しているということは、大変興味深いことです。深い構造である「和達・ベニオフ帯」の形成過程と、浅い構造である「海溝」の形成過程に深い関わりがある、ないし、同じ運動が、両者を同時に形成させた可能性が想定されます。




 
6−4 地殻地震の震源分布の傾向
 「地殻地震」全体の深度帯別の頻度分布の傾向は、特定の深度帯(7km−26km)に、地震発生が集中していることが顕著です。「地殻地震発生域」を「構造」としてとらえると、この構造は、地殻、マントルや地殻内のシアル層、シマ層といった、地球表面付近の「同芯球状構造」 (単純には「水平層構造」) に、明らかに並行していると考えられます。「地殻地震発生域」は、全体としては「水平層構造」をしていると言えます。

 表2の地震表の中で「地殻地震」を、地形地質区域ごとに、並べ替えて表5に示しました。また、これから、地形地質区域ごと、深度帯ごとの頻度分布グラフを作ってみました(図8)。


表5 2007年の主な地震の内、地殻地震の地形地域と震源深度

 

図8 地殻地震の地形別、震度別頻度分布

 頻度分布の山を作っている7−15km帯と16−26km帯両者を比較すると、浅い方の7−15km帯では、「海嶺」での地震発生が非常に多く、それに次いで「島弧」での地震発生が多くなっています。他の地形地質域での地震発生の頻度はこの両者に比べて随分少なくなっています。相対的に深い方の16−26km帯では、逆に「島弧」の地震発生が最も多く、それに次いで「海嶺」での地震発生になりますが、頻度はかなりさがります。

 7−15km帯と16−26km帯の各々の全体では、7−15km帯の地震発生頻度の方が大分多くなっています。

 平面的な広がりは、図9のようです。前述のように「マントル地震」の分布より、だいぶ広い地域で「地殻地震」が発生しています。ただし、「2 地震の調べ方」で述べたように、世界でみれば、相当に偏った分布になっています。地球表面付近の「同芯球状構造」 (単純には「水平層構造」) に、明らかに並行していると述べましたが、 震源は、同芯球の全体に広がるのではなく、その中の特定の部分だけに集中しています。




図9 地殻地震の震源分布図

 「地殻地震」が多く起きているのは、島弧、沿海、海嶺、陸弧です。頻度はこれらほどではありませんが、「大陸内山脈」でも、相当数発生しています。また、頻度はごくわずかですが、大陸高原、大陸平原、大陸地溝帯の所での地震発生があります。しかし、大洋底の海盆の地形のところには「地殻地震」もありません。

 「海嶺」では、島弧型海嶺のところの地震発生は大変多く、大洋中央海嶺での地震も少しあります。ただし、この表では大洋中の独立型海嶺のところでは、「地殻地震」もありません。



 地殻地震をより詳しくみるため、地殻地震の内で、深度7-15km、16-26km、27-45kmの3つの範囲内のデータのみの分布図を作ってみました(図10〜図12)。



図10 地殻地震の内、7−15km地震の震源分布図


図11 地殻地震の内、16−26km地震の震源分布図


図12 地殻地震の内、27−45km地震の震源分布図


図9〜図12を見ると、中央海嶺の地震は、7−15km帯のみにあり、それより深いところでは出現しないこと、大陸内山脈の地震は、7−15km帯ではかなりあるのに、16−26km帯では相当少なくなり、27km以深では非常に稀になっていることがわかります。また、大変地震の多い島弧や島弧型海嶺のところでも、地震は7−15km帯と16−26km帯でほとんど起きており、やはり、27km以深では非常に稀になっていることがわかります。また、沿海の地震も、地震は7−15km帯と16−26km帯の中で起きています。

 しかし、それに対して、陸弧の地震は、27km以深でもある程度起きており、少し状況が異なっていることもわかります。陸弧の27km以深の地震は、平面的には、マントル地震とほぼ重なり、「和達・ベニオフ帯」に含まれます。

 これらから、平面的にみて、地震の震源の範囲が狭まるのは、地殻とマントルの境界のモホ面ではなく、それよりだいぶ浅い深度26kmないし27km付近であるといえます。地殻地震でも、この深度より深い地震は、明らかに「和達・ベニオフ帯地震」であるといえます。


 「地殻地震」は、頻度と震源域の広がり方の考察からは、数の少ない0−6kmの「地殻表層地震」と、数の最も多い7km−26kmの「地殻上部層地震」と、27km以深の、「和達・ベニオフ帯地震」に3つに分けるのが妥当だとと思われます。



 
6−5 地殻・マントル境界地震について
 「地殻・マントル境界地震」は、モホ面のデータがないため、全く便宜的に設定した「地殻・マントル境界域」の中で発生した地震です。曖昧なものなので、これについて、詳細に検討しても意味はありません。ただ、これまでと同様に作成した、地殻・マントル境界地震の地形別、深度別頻度分布(図13)と、地殻・マントル境界地震の震源分布図(図14)を見ると、地殻・マントル境界地震もすべて「和達・ベナオフ帯地震」に含めて良いと判定されます。


表6 2007年の主な地震の内、地殻・マントル境界地震の地形地域と震源深度



図13 地殻・マントル境界地震の地形別、深度別頻度分布




図14 地殻・マントル境界地震の震源分布図

 図7のマントル地震の震源分布や、図12の地殻地震の内、27−45km地震の震源分布と大変調和的であり、これらの図に示される地震は、すべて、「和達・ベニオフ帯地震」とみなして良いと思われます。



 
7 考察1−地震の分類
 地殻地震のところで述べた、 「地殻地震」は、頻度と震源域の広がり方の考察からは、数の少ない0−6kmの「地殻表層地震」と、数の最も多い7km−26kmの「地殻上部層地震」と、27km以深の、「和達・ベニオフ帯地震」に3つに分けるのが妥当だとと思われます を基本にしてみます。

「マントル地震」と、「地殻・マントル境界地震」も、各々は、すべて、「和達・ベニオフ帯地震」みなして良いので、地震は簡単には
  1. 地殻表層地震
  2. 地殻上部層地震(地震殻地震)
  3. 和達・ベニオフ帯地震
に3分類するのが良いように思います (「地震殻」については後述) 。 しかし、1や2で、かつ、3でもある地震もあるので、だいぶ複雑になってしまいますが、正確を期すなら次の表7のような分類になるでしょう。


表7 発生域による地震の分類案


 この表で、[]で示したのは、地震発生域の立体形状です。また、背景色が灰色で地震名を()でくくったところは、地震がないか、あっても、非常に稀なところです。


 平面的に海溝沿いを海溝 - trench - のTをとって「T域}とし、その他の一般の地震帯を、一般 - general -のGをとって「G域」、地震がないか、非常に稀に起きるところを、 - no earthquakes - のNをとって「N域」とします。また、鉛直方向に、浅いほうから、深いほうに向かって、地殻表層 - crust, surface -で、「cs域」、地殻上部層 - crust, upper - で、「cu域」、地殻下部層 - crust, lower -で、「cl域」、地殻・マントル境界域は、境界 - boundary - で、「b域」とし、マントル - mantle -で、「m域」とします。そして、縦横にこれらを組み合わせて、領域を詳しく表示するという考えです。

 そもそも、地震の全くないところでは、分類の必要はありませんが、大陸平原のようなところでも、ごく稀には地震が発生することもあるようなので、いちおう、すべての範囲で領域表示できるようにしてあります。

 cu域で示した、地殻上部層は、地球の球状の形状に着目すれば、球殻状なので、この部分を「地殻」と似た表現で、「地震殻」ということができるでしょう。だから、地殻上部層地震は、「地震殻地震」と呼ぶことができます。




8 考察2−地殻上部層地震(地震殻地震)の原因の推定
 大地形と物性と地震の関連表(表7)を作ってみました。


表7 大地形と物性と地震の関連表


 この表の肝は、地形地質区域ごとの地殻の物性推定を付け加えてある点です。この考え方は、本編の1−2−2で述べたもので、地殻は「剛体地殻」「塑性体地殻」からなり、かつ、この分けと大地形が対応しているというものです。

 表7を見ると、沿海海盆と大洋独立型海嶺を;除いたところでは、地殻地震 (実質的には、地殻上部層地震) の発生域が「塑性体」で、この地震のないところが「剛体」に当たっています。

 さらに、地学トピック6で述べた、「地球は現在少しずつ縮小しているかもしれない」という考えとを合わせて、「全体として縮小している地球表面で、相対的に、硬く剛性的なところは、変形せず、相対的に柔らかく塑性的なところは、塑性変形で、縮小に対応する。そのとき、塑性地殻部分では、全体としては、褶曲などの塑性変形でこの変位に対応するが、その中の局所では、脆性破壊、すなわち、地震を引き起し、これに対応する」そういうことで、地震が発生するというメカニズムが考えられ得ます。

 地球の収縮が、地殻の上部層の短縮を生み出すが、地殻上部層 (地震殻) 中では、塑性的な部分が集中的に短縮し、塑性的な部分は全体としては、大褶曲で塑性変形する。しかし、塑性的な部分の中の局所では、この短縮を地震という脆性破壊で実現しているという考え方です。

 言葉で説明すると、難しくなってしまいますが、この考えを図15(a)〜図15(e)に示しましたので、これで理解していただきたいと思います。



図15−1 地震殻地震の原因推定図(a)〜(c)


図15−2 地震殻地震の原因推定図(d)〜(e)



 突き詰めて言うと、「地球の縮小が地殻上部層地震 (地震殻地震) の原因である」というのが、私の考えです。





9 まとめ



  参考文献・地図

1 浅井 信雄(あさい のぶお)監修 2004 なるほど世界地図帳
                         昭文社 pp. 100-186

2  2010 世界全図 メルカトル図法 1 : 40,000,000
                          昭文社

3 萩原 尊禮(はぎわら たかひろ) 著 1991   日本列島の地震−地震工学と地震地体構造
               鹿島出版会   p.64

4 国立天文台   理科年表 平成21年版(机上版)  丸善  2008
                   p.地37 (601), pp.地188-193 (732-757)