地学・トピック6 地球の大きさの認識値変遷と地球半径変化

[初期掲載 2009年 9月]


地球の大きさの認識値変遷と地球半径変化




1 地球の形
 地球の形は、おおざっぱにいえば「球形」であるといって間違いありません。ただ、より詳しく、正確に地球の形をみてみようとすると、話が少しややこしくなります。

 まず、陸上では山々が高くそびえているので、この扱いをどうするかということが問題になります。また、海洋では、海面をもって地球表面とするのか、海底面をもって地球表面とするのか、2とおりの考え方が可能でしょう。一般には、海洋では平均海面をとり、陸上では、平均海面の陸上への延長の仮想的曲面をとって、両者を総合して「ジオイド」というものを考えて、正確な地球の形は「ジオイド(面)」の形であるということになっているようです。(参考文献 1)

 ジオイド(面)が最も良くフィットする単純な数学的な形は球形ではなく、極方向がわずかに短くつぶれた「地球(回転)楕円体」です。  (この説明は、地球の形の認識の歴史からすると必ずしも正しくないかもしれませんが、今現在の説明としては、これで良いと思います。)


 地球の形を正確性で図式的に序列化すると次のようです。
  1. 最も正確な形 --------------------- ジオイド(面)
  2. 上記と下記の中間の正確性の形 ----- 地球(回転)楕円体
  3. 近似的な形 ----------------------- 球形
 (なお、地球(回転)楕円体は、正確には「地球回転楕円体」ですが、単に「地球楕円体」と表記されることも多いので、どちらにしようか迷って、とりあえず、こういう煮え切らない表記にしました。ジオイド(面)も同様な煮え切らない表記ですが、こちらは、「面」に着目していることを強調する場合に、「ジオイド面」を使うことが多い気がします。)




2 地球の大きさの認識の歴史
2−1 歴史をふりかえる範囲とその方法
 このテーマをきちんと網羅的に説明するのであれば、古代ギリシャのエラトステネスや日本の江戸時代の伊能忠敬の話ははずせないとは思いますが、これらの知識は、ごくわずかしかないので、これらの説明をすることはやめます。


 ここでは、2系統の資料を使って、1800年から現在までの「地球の大きさの認識の歴史」をみてみたいと思います。

 1系統目の資料は、昔、学生時代に買った「地学辞典」の付図・付表の中にあった、その時点までの地球の大きさの認識値の変遷。具体的には地球回転楕円体の極半径と偏平率の変遷の表です。2系統目の資料は、数年に一度の割合で買うことにしている理科年表の地球の大きさについての表です。

 これらの表の地球の大きさの値を年代順で見ていくと、大きさの認識値の変遷を追尾することになります。なお、表類はホームページ作成の都合上の理由で、いずれもクリックして、リンク先の表を表示する形にさせていただきます。



2−2 1800年から1967までの地球の大きさの認識値の資料
 引用文献1の表を表1に示します。

表1 1800年から1967年の間に発表された地球楕円体の半径などの一覧表
(1970 地学辞典 平凡社  付図付表40 より)


 表1の中で、赤道半径値と1/偏平率のデータがそろっていて、かつ、日本付近のみに適合するといった、局所適合型と思われるものを除いたデータを取り出すと表2のようです。ここでは、赤道半径、1/偏平率とも、値そのものを載せるのではなく、1967年のI.U.G.G.(万国測地学協議会)の値を基準値として、これとの差分を載せてあります。この方が、値の変遷がわかりやすいので、このようにしました。

表2 1800年から1967年の間の地球楕円体の赤道半径値の変遷概要




2−3 1967年から1984年前後までの地球の大きさの認識値の資料
 引用文献2,同3から、それぞれの時代に考えられていた地球の大きさと、そのときまでの地球の大きさの認識値の表を掲げます。


表3 理科年表1970年版の地球の大きさ

表4 理科年表1989年版の地球の大きさ

表5 理科年表1989年版に掲載されたこのときまでの主なの地球の大きさ値の表



2−4 1984年前後から現在(2009年)までの地球の大きさの認識値の資料
 引用文献4から、1999年ころ考えられていた地球の大きさと、そのときまでの地球の大きさの認識値の表を掲げます。

表6 理科年表平成17年版(2004)の地球の大きさ

表7 理科年表平成17年版(2004)に掲載されたこのときまでの主なの地球の大きさ値の表

 理科年表平成21年版(2008)[参考文献 2]を見ると、2008年になっても、平成17年版と同様の1999年の値がのっています。地球の大きさに関する数値は、両理科年表で、全く変わりありません。このレベルでは、測定誤差10cm程度と書いてあります。そして、大きさについて、地球潮汐の扱いによって違いがあることも明示されています。




2−5 1800年から現在までの地球の大きさ認識値kの変遷
2−5−1 年代区分
 表5と、表7に示した半径と、1/偏平率の大きさについて、1984年のGRS−80(改訂)の値を基準値として、これとの差分を取った表を作りました(表8)。

表8 1967年から1984年頃までの間の地球楕円体の赤道半径値の変遷概要


 表2と表8のデータを、次に示す4つの年代のうちの、前から3つ目までの年代についてグラフ化しました。各々、横軸に年代を、縦軸に地球の大きさ差分をとったグラフと、同じく横軸に年代をとり、縦軸には1/偏平率の値の差分をとったグラフにしてみました(図−1〜図−6)。これらによって、時代とともにどのように地球の大きさの認識値が変化してきたのか読み取れます。


 1800年以降の地球の大きさの認識値の歴史は、概ね4段階に区分できそうです。1800年頃−1863年頃、1863年頃−1967年頃、1967年頃−1984年頃、1984年頃−現在の4段階です。ここでは、この段階ごとに状況をまとめてみます。



2−5−2 年代別各論

(a)1800年頃−1863年頃

図−1 地球回転楕円体の赤道半径の認識の変遷 1800年−1863年



図−2 地球回転楕円体の偏平率の認識の変遷 1800年−1863年

 この時代の半径の認識値は、kmのレベルで変動しており、まだ、測定誤差が非常に大きく、今日のレベルと比較すれば、著しく不正確であったといえます。半径の傾向としては、時代とともに地球の認識半径が大きくなっていったことがわかります。



(b)1863年頃−1967年頃

図−3 地球回転楕円体の赤道半径の認識の変遷 1863年−1967年



図−4 地球回転楕円体の偏平率の認識の変遷 1863年−1967年

 この時代でも、認識値は数10mから、最大200m強まで変動しており、誤差は、100mないし数10m程度はあったものと思われます。半径の大きさは、時代とともにやや小さく認識されるようになっている傾向がうかがえます。



(c)1967年頃−1984年頃

図−5 地球回転楕円体の赤道半径の認識の変遷 1967年−1986年



図−6 地球回転楕円体の偏平率の認識の変遷 1967年−1986年


 この頃になって、誤差がようやく数m程度以内におさまったものと思われます。1976年以降に限ってみれば、半径の値の変動は5m以内におさまっています。
半径の大きさの認識値は年代とともにわずかに小さくなっていく傾向が認められます。



(d)1984年頃−現在(2009年)
 平成17年版理科年表(2004)の楕円体の表は最新のものが1986年で終わっています。1960年代半ばから1980年代半ばまで、数年に1度は楕円体の新しい大きさが発表されていた時代と、この件に関する状況がおおいに異なって来たように思われます。

 前述のように、理科年表平成17年版(2004)と、理科年表平成21年版(2008)で、地球の大きさに関する数値が全く変わらないのは、1980年代後半から以降の、誤差数10cmのレベルでは、地球潮汐などの影響を大きく受けるので、ここから地球半径・偏平率の正確性のレベルを上げることが困難になっているために、新たな正確な数値を載せられないためと思われます。
 測定誤差が1m程度までは、地球の地球潮汐(「脈動?」)のようなことは、問題にならなかったが、これより誤差が小さくなってくると、このようなことに大きく影響されるので、真値に近づくのが著しく困難になっているためと思われます。




3 認識値の変遷の解釈
3−1 解釈の手順
 次に、以上述べた地球半径の認識値が年代とともに変化していることの解釈を試みます。まず、解釈に入る前に準備として、少し頭の体操をしておきます。次いで、最新のことに関しては、地球潮汐がおおいに関係がありそうなので、地球潮汐についてみてみます。そして、その上で解釈を試みることにします。


3−2 準備 (頭の体操 その1)
  ここでは、ある関数値に、別の関数値が含まれているとき、含まれている関数の見え方について考えてみます。抽象論は分かりにくいので、具体例をみてみます。

 まず、ある関数として適当な周期関数を作ってみます。周期関数の代表としてサインカーブをとり、これをもとに、少し複雑な周期関数を作ってみることにします。サインカーブは図−7のようです。



図−7 サイン関数

 次に、図−7のカーブより、ずっと波長の短いサインカーブを作って図−8に示します。ここでは、細かなことには気にせず、関数のカーブの概形にだけ注目してください。

 (あとで、具体的な計算値とグラフの対応が見やすいように、あえて角度の計算間隔は細かくしません。そこで、本来滑らかなカーブであるべきサインカーブが図−8では折れ線になっています。が、これは、あまり気にしないでください。)



図−8 波長の短いサイン関数

 これら2つの波長の異なるサイン関数の値を掛け合わせると、もとの関数よりは複雑な周期関数ができます。図−7の関数と図−8の関数を掛け算して作ったのが、図−9の関数です。



図−9 波長の異なるサイン関数から作った合成関数

 ここで、比例定数が適当な小ささの、角度と反比例する単純な反比例関数を作っておきます(図10)。



図−10 (比例定数の絶対値が)小さい反比例関数

 そして、これを先程の合成関数に単純に足し算してみると、図−11のようになります。



図−11 合成関数と小さい反比例定数の加算関数。

 次に、さっきのよりさらに(比例定数の絶対値が)非常に小さい反比例関数を作ってみます(図−12)。



図−12 (比例定数の絶対値が)非常に小さい反比例関数

これも、さきほどの合成関数に単純に足し算してみると、図−13のようになります。



図−13 合成関数と非常に小さい反比例定数の加算関数

( 一応、以上の計算の計算表を表8に掲げておきますが、単に計算根拠を示しただけのものです。無視していただいてかまいません。)

表8 波長の異なるサインカーブの合成計算表

 さて、ここで、図−9と図−11と図−13を見比べてください。図−11が他の2つと異なるというのは、よほど不注意な人でなければ判定できますが、図−9と図−13とが異なるものだということは、ぱっと見では全然わかりません。図−9と図−13が異なるかもしれないという予測をたてて、なおかつ、グラフの形なり数値なりを精査して始めて違いが発見できるといったものでしょう。

 「ある関数に含まれている別の関数を識別するのは、含まれる側の関数による値の変化が小さいとき、とても困難なことになる」ということを理解していただけたと思います。


3−3 準備 (頭の体操 その2)
 ここでは、ある測定値が非常に誤差の大きいところから真の値(真値)に近づいていくとき、測定値がどのように変化して見えるかを考えてみます。

 まず、さきほどの合成関数図−9の中から、角度π/2ラジアンのところから、πラジアンのところまでの間だけを切り出したグラフを作っておきます(図−14)。



図−14 真値接近関数の元関数

 仮に真値がゼロとすると、このカーブのこの部分は、誤差の大きな測定値が、真値から大きく振れながら、時間とともに、次第に真値に近づいている状態を表しているようにも見えます。そこで、ここでは、このように見立てることにします。図−14の関数の角度を時間に変換した図−15のような「真値への接近関数」というものを考えて、これが、「測定値が大きく値を変化させながらも、次第に真の値に近づいている」状態を表しているいうことにします。




図−15 真値接近関数(真値に変動がないとき)

 ここまでは、真値が時間がたっても不変である場合を考えてきましたが、対象によっては、真値(測定値)が時間とともに変化する場合があり得ます。次にこの場合のことを考えてみます。

 真値が時間に比例して変化するパターンを図−16に、時間に反比例して変化するパターンを図−17に示します。



図−16 真値が増加していく場合の真値接近関数




図−17 真値が減少していく場合の真値接近関数


( 一応、以上のグラフの計算表を表9に掲げておきますが、単に計算根拠を示しただけのものです。無視していただいてかまいません。)

表9 真値接近関数計算表

 図−15、図−16、図−17から、このようなグラフを作って、そのパターンをみれば、測定値の誤差が非常に大きなレベルから小さくなっていく過程と、真値が変化していく過程が重なり合っているデータでも、真値の変化傾向が判別できることがわかります。




3−4 地球潮汐
 海の水が月や太陽の引力の影響で干満を繰り返していることは非常に良く知られています。

 地学では、地球を大気圏と水圏と岩石圏とに区分することがあります。海水の干満は水圏の話ですが、岩石圏でも、地球を構成する岩石が全体として干満を繰り返しています。このことは、まだ、一般人にはさほど知れ渡っていませんが、地学の専門家には周知のことと思われます。

 参考文献 1)によれば、この「地球潮汐」による地面の上がり下がりは、おおむね60cm程になるそうです。潮汐なので周期は半日です。この文献から、「地球潮汐」による地盤の変位の測定例を引用させていただいて、次に示します。



図−18 千葉県での伸縮計と傾斜計の測定例
(引用文献 5) =参考文献 1) より)



図−19 千葉県での伸縮計と傾斜計の測定例の説明
(引用文献 5) =参考文献 1) より)

 地球潮汐によっては、地盤は上下に動くだけでなく、わずかながらも水平にも伸縮し、また、地盤の傾斜も変化します。図−18、図−19は、水平の伸縮と地盤傾斜変化の測定をしたものです。



3−5 地球半径の認識値変遷の解釈
 地球の大きさの認識値変化で示した図−1, 図−3, 図−5を見てみると、最初の図−1は、あまりに大きく値が変動しているので、ここから有意なことを導き出すのは無理と思われます。2番目の図−3も、まだ変動はかなり大きいのですが、変動がおさまってきた3番目の図−5と同様に、年とともに半径が小さくなっている傾向は変わりません。そこで、この図−3と図−5は、準備(頭の体操 その2)の図−17に当たるものと解釈して、真値の変化傾向を概算してみます。

 図−3について見てみます。始点を1863年半径差分85mとし、終点を1967年の半径差分0mと−17mの両データの平均値−8.5mの線分が、概ね真値に近いところを通っているとして、この傾きを求めると、

(-8.5m - 85m ) / (1967年 - 1863年) = -93.5m/104年 = -0.899 m/年

になります。

 図−5について見てみます。始点を1973年の差分9mと4mの両データの平均6.5mとし、終点を1984年の差分0mという線分で傾きを求めると、

(0m - 6.5m) / (1984年 - 1973年) = -6.5m / 11年 = -0.591 m/年

になります。

 図−3と図−5で以上のように計算した、地球半径変化の速度は、数値は異なりますが、桁は一致しています。

 乱暴ですが、「60cm/年ないし90cm/年程度の半径短縮速度で、地球が収縮していて、これを誤差がどんどん小さくなっている測定で捉えた結果、これらのグラフのようになった」のではないかというのが私の解釈です。

(後述のように、最近の正確な測量データの値からの収縮速度の推測値は、これよりだいぶ小さくなりますが、最近の測量データが、本当に正確なのかどうか、少し疑っているところもあるので、この一見、大きすぎる見積もりをあえて掲げておきます。それに、ひょっとしたら収縮速度自体が、時代によって変化しているかもしれません。)

 1980年代半ば以降の話は、けっこう難しいので、後で、検討します(3−6 地球の半径変化 参照)。

 さて、今日では地球の大きさについても、誤差10cm程度の高精度が期待できるようですので、こんなに大きな半径変化があれば、容易に捉えられそうな気がします。次に、このことについて考えてみます。

 この点について、問題を難しくしているのは、地球潮汐でしょう。準備(頭の体操 その1)の図−13と、地球潮汐の測定結果図−18を参考に、正確なものではありませんが、「地球潮汐による変位モデル」を適当に作ってみました(図−20)。



図−20 地球潮汐による変位のモデル

 (一応、式を用いて、このモデルの説明をしておきます。

  モデル変位量 H cm
H cm = H1 cm + H2 cm
H1 cm = Hy cm + Hm cm + Hd cm
H2 cm = sin(D) * sin(M) * sin(Y) cm
Hy cm = 5cm * sin(Y) cm
Hm cm = 10cm * sin(M) cm
Hd cm = 30cm * sin(D) cm
Y ラジアン = d日 /(182.5日 * 2πラジアン)
M ラジアン = d日 / (15日 * 2πラジアン)
D ラジアン = d日 / (0.5日 *2πラジアン)

 の式で、経過日数 d日と、変位量 Hcmの関係を作ったものです。)


 これは、潮汐による変位は概ねこんな感じだろうという程度のいい加減なモデルです。

 70cm/年の地球半径短縮速度に相当するのは、0.192cm/日の変位速度になります。この速度で、経過日数に反比例する関数をつくりました。そして、図−20のモデルとこの関数を加算して、図−21を作りました。あとで加算した関数の値(絶対値)は、31日目でも約5.94cmにしかなりません。

 図−21に、このような関数が含まれていることは、よほど注意してみないと、見過ごされてしまうでしょう。




図−21 地球潮汐による変位のモデルに仮定の地球収縮による変位を加えたもの

 地球の大きさの正確な測定値ができても、これは、常に変動している値なので、その中のわずかな一定方向の短縮傾向は、よほど注意しないと見いだせない可能性があります。「地球潮汐」の永久変形部分とか、その地点だけの局所的な地盤変動なども混在している測定値なので、「地球収縮」の値が、これらの中に、紛れ混まされている可能性が多分にあるのではないでしょうか。




3−6 地球の半径変化
 参考文献1)には、VLBIの技術で、ハワイと日本が、約6cm/年で近づいていることを測定したことと、これがプレート運動を測定したものだと書いてあります。この話の元のデータが国土地理院のホームページの中の「基準点・測地観測ページ」の中の「VLBIページ」の中の「VLBI成果」(「国際基線長」)に載っています。つくばの観測局とハワイのコキーパーク局の間の長さは、−60.409mm/yearで短縮しているとなっています。

 このページには、つくば局と他の局との距離変化のデータも載っています。ざっと見たところ、筑波−ハワイの短縮速度が最高で、その次に速いのが、筑波−オーリトラリア タスマニア島間(−46.109mm/year)、その他、筑波−上海間(−28.495mm/year)、など、ごく一部をのぞいて、ほとんどがマイナス、つまり、つくば局との距離が短縮し続けているデータになっています。ただし、つくば局とヨーロッパ、南アフリカとの間は、−10mm/year 〜 −18mm/year 程で、つくば局とアメリカ本土東海岸のウエストフォード局との間は、−0.367mm/yearと、値の絶対値は小さくなっています。

 仮に、地球が収縮していれば、当然地球表面の各点間の距離は縮まるのですから、これらの短縮は、プレート運動を示しているわけではなく、地球収縮を示している可能性があります。



 測地学会のホームページ (測地学テキスト) をみると、現在では、VLBIやGPSといった、素人にはわかりにくい高度な測量技術で、測地が行われているようですが、これらは、基本的には、高精度の2点間距離測定ということのようです。GPSでは、地表の管制局とGPS衛星の距離、GPS衛星と地上のGPS観測局の距離というのが測量のもとになっており、VLBIでは、VLBI局間の距離を高精度に測定するということのようです。

 素人には、良くわかりませんが、GPS管制局自体が地心に対して、常に複雑な上下変動をしているので、この変動の影響を除去する作業がどこかで行われているはずです。そのときに、地球の大きさは、長期間の平均をとれば一定という前提で、プログラムされた処理がなされていないか疑念をもっているわけです。

 VLBIについては、はるか彼方の準星との位置関係ということなので、事情が違うと思われますが、やはり、基地局周辺のみの局所的地殻変動などが含まれてしまっているのではないでしょうか。素人には、本当に難しいのですが、まだ4局間のみで試みられている「VERAプロジェクト」のようなことを全地球規模まで拡大して、地球規模の、地表の上下変動の影響を受けない立体三角測量網みたいなもので測量しないと、正確なことはわからないのではないでしょうか。





 嘘の上塗りになるかもしれませんが、地球の半径変化ということがあるとして、その累計とか、半径変化が引き起こす表面の弧長の変化とか、表計算ソフトで簡単につくれます。次の表10から表13まで作ってみました。何かの参考にしてください。(半径変化に関する表は、地球は半径6378137mの球形という仮定で作ってあります。)


 何も根拠はないのですが、地質時代に地球が現在の大きさと比べて、ブラス・マイナス20%程度まで大きさが違っていたということは、おおいにあり得ることと思っています。


表10 地質学的時間での半径変化量計算表 (半径変化速度一定モデル)

 (表で淡緑に着色したところは、上記ブラス・マイナス20%以内の範囲に入っているところです。紺色のところは、変化量が、現在の地球半径より大きいところ、拡大説をとった場合に、数学的にも絶対にあり得ないところ [元の地球の半径がマイナス! なので、] です。)


表11 半径変化l量と弧長変化量との関係(1) [半径変化 1000kmから1km]

表12 半径変化l量と弧長変化量との関係(2) [半径変化 1kmから1m]

表13 半径変化l量と弧長変化量との関係(3) [半径変化 1mから1cm]



 前述のVLBI基地局間の距離で、短縮の大きなところ、ハワイ−筑波の約6cm/年と、筑波−上海の約3cm/年を合計した、9cm/年と、地球儀でざっと見積もったハワイ−上海の地球中心角約60度から、表13の60度の長さのところで、近似の値をさがすと、対応する半径短縮は8cm/年と、9cm/年の間になります。これは、VLBIの値からは大きめの推測で、平均的な値からは、もっと小さい速度になります。

 基地局間の距離が長ければ、全体の縮み量も増えるはずです。なので、単位の基地局間距離に対する平均的短縮速度を求めて、その長さと地球周長、地球半径との長さ比で、概ねの周長短縮速度と、半径短縮速度が求められるはずです。これを試してみます。

 つくば局と各基地局の間のデータを国土地理院のホームページから引用して、表14に示します。


表14 VLBIデータから求めた単位基線長に対する距離変化速度
  (変化速度と基線長、開始終了期間は、国土地理院ホームページより、その他はここでの計算値)
基線の両端のVLBI基地局 局間の距離変化速度
(mm/年)
基線長(=局間距離)
(mm)
速度/基線長
(/年)
観測開始年
(年)
観測終了年
(年>
つくば局−ギルモアクリーク局(1) -1.130 5, 438, 877, 209.4 -0.208×10^-9 1998 2002
つくば局−ギルモアクリーク局(2) 8.095 5, 438, 877, 209.4 1.488×10^-9 2002 2007
つくば局−ハートラオ局 -10.739 11, 158, 665, 504.5 -0.962×10^-9 1999 2009
つくば局−ヴゥルツェル局 -13.516 8, 444, 991, 434.8 -1.600×10^-9 1998 2009
つくば局−マテラ局 -18.179 8, 819, 365, 979.9 -2.061×10^-9 1999 2009
つくば局−ウエストフォード局 -.367 9, 505, 665, 092.6 -0.039×10^-9 1999 2009
つくば局−コキーパーク局 -60.409 5, 754, 940, 543.6 -10.497×10^-9 1998 2009
つくば局−ホバート局 -46.109 8, 087, 529, 409.6 -5.701×10^-9 1998 2009
つくば局−上海局 -28.495 1, 829, 057, 103.3 -15.579×10^-9 1998 2008
平均 -3.907×10^-9 -

[ギルモアクリーク局はアラスカ、ハートラオ局は南アフリカ、ヴェルツェル局はドイツ、マテラ局はイタリア、ウエストフォード局はアメリカ大西洋側、コキーパーク局はハワイ、ホバート局はオーストラリアのタスマニア島にあります。]
[つくば局−ギルモアクリーク局間の距離は、2002年末にアラスカで起きた地震の前後で、運動が変化したので、各々を別のデータとしました。]

 表14より、平均値から周長の短縮速度を計算すると

-3.907×10^-9(/年) × [地球半径]6, 378, 137, 000(mm) × π × 2 = -156.57 mm/年

半径短縮速度は

-3.907×10^-9(/年) × [地球半径]6, 378, 137, 000(mm) = -24.92 mm/年

です。

 この計算では、年 2.5 cm弱の速度で、地球半径が短縮していることになります。

 このページで提示した地球半径短縮速度は、大きいものは90cm/年で、小さいものは上記の2.5cm/年です。もとになった測量データの正確性は比較にならないくらい後者の方が高いわけですが、だからといって、前者が全く間違いで、後者が正しいということにはなりません。1つは、「地球収縮速度が一定である」として良いかわからないこと、2つ目は、最近の非常に高精度のデータには、高精度であるが故に無視できなくなった、地表の常時の複雑な運動の影響が、充分完璧に排除できているか疑念があるからです。

 ただ、VLBIの技術は、この問題に対して最も有効なもののような気がします。世界中にVLBI基地局がもっと多くできて、多点間の同時測定が容易に行われるようになれば、これで、地球収縮の証明と、地球半径短縮速度の正確な測定が可能になるような気がします。
 

引用文献

文献1) 地団研地学辞典編集委員会   地学辞典   平凡社   1970 (昭和45年)
                        p.1266 付図付表40 主要地球だ円体表

文献2) 東京天文台    理科年表 昭和46年   丸善   1970
                  p.地1
   
文献3) 東京天文台    理科年表 昭和64年   丸善  1988
                  p.地1(619), p.地3(621)

文献4) 国立天文台    理科年表 平成17年版(机上版)  丸善  2004
                  p.地1(559), p.地3(561)

文献5) 大久保 修平   朝日選書752 地球が丸いってほんとうですか?  朝日新聞社  2004
                  p.216 図40−2



参考文献

文献1) 大久保 修平  朝日選書752 地球が丸いってほんとうですか? 朝日新聞社  2004
                   pp.13-17, pp.22-35, pp.41-51 pp.125-130, pp.212-217

文献2) 国立天文台   理科年表 平成21年版(机上版)  丸善  2008
                   p.地1 (565), p.地3 (567)
      


参考ホームページ

ホームページ 1) 測地学会ホームページ−測地学テキストページ
           とくに 基礎編と応用編

ホームページ 2) 国土地理院ホームページ−基準点・測地観測データペ−ジ−VLBI−VLBI成果
           の中の国際 VLBI観測ページ