月のうさぎ
最近、月探査機「かぐや」が役割を終え 月に落下させられたことが話題になりました。すでにいくつかの成果がJAXAのホームページで紹介されています。これから先もまだいろいろな月探査に関する資料が公表されていくものと思われます。
月の大地形や地名について、あまりなじみがなかったので、これらを少し身近に感じるために、「月のうさぎ」で、月の中の場所の見当をつけられれば良いのではないかと思いつき、図−2、図−3をつくってみました。
日本では、月にうさぎがいて、餅つきをしているといわれてきました(図−1)。

図−1 月のうさぎの餅つき(文献1より)
これを少し地学的に考えると、月の表側は常に地球の方に向いていて、その模様がうさぎの餅つきの形に見えるということです。うさぎは明るく白く光って見える背景の中でやや暗くなっている部分です。明るい背景は月の高地で白っぽい岩(斜長岩)から出来ており、また、模様の部分は「海」と呼ばれる相対的低地の平地で、黒っぽい玄武岩からできています。高地には非常に多くのクレーターがありますが、海のクレーターは大分少なくなっています。
文献2 に掲載されていた満月の写真を90度左回転させたものをベースとして、同文献の月面図の地名を参照して、図−2の月の表側の地図をつくってみました。地球は「水の惑星」で、ガガーリンの「地球は青かった」はあまりに有名ですが、少なくとも現在の月の表面には遠くからはっきりわかる水の兆候はなく、月は岩だけの世界です。しかし、ここでは、あえて、月も仮に「水の衛星」で、「高地はサバンナのような草原、海は青い海」でおるようなイメージの配色で図を描いて7みました。
図−2 月の表側の地図(うさぎ地図)
(うさぎ地図)という妙な注釈をつけたのは、通常の月面図と図の上下の向きがかなり異なった、うさぎが立っている形にしてあるからです。うさぎがこちらを向いているとすると、うさぎの右耳が「豊の海」で、
左耳が「神酒の海」、顔が「静かの海」、胴体が「晴れの海」、脚が「雨の海」ということになります。
また、腕ないし杵が「蒸気の海」で、臼のうさぎの体寄りの部分が「知られた海」、臼のうさぎの体から離れた側の上部が「雲の海」、同じく下部が「湿りの海」で、模様全体の下の方の影のようなモヤモヤが「嵐の大洋」であるといって良いでしょう。
これで、模様と地名の関連づけができましたが、普通月面図は、月の北を上に描くので、普通の月面図とほぼ同じ向きにするため、80度右回転した図−3を作ってみました。
図−3 月の表側地図
なお、図−2、図−3には、元の写真で顕著に見える光条を伴う主なクレーターを描いています。ただし、肉眼や写真で顕著に見えるものと、望遠鏡写真や探査機からの写真で顕著に見えるものとはかなり異なるので、ティコやコペルニクスも、望遠鏡写真や探査機からの写真などではさして目立ったものではありません。
参考文献
青木 満(あおき みつる) 「月の科学−「かぐや」が拓く月探査」 ベレ」出版 2008
p.57
白尾 元理(しらお もとまろ) 「月のきほん」 誠文堂新光社 2006
p.29, pp.131-132