3−3.化学成分の「火山列」の考察

3−3−1.東北地方の第四紀火山の鉱物組成・化学成分による火山列

 生出慶司・中川久夫・蟹沢聰史 他編 日本の地質2「東北地方」 (共立出版1989)の第6章「火山」の記述によると、東北本州弧に分布する第四紀火山岩類は太平洋側から、青麻−恐火山列、脊梁火山列、森吉火山列、鳥海火山列の4岩石区に区分できるそうです。
 図3−3−1は、前掲の火山名称図の各火山を上記資料にもとづいて、火山列ごとに火山を色分けしたものです。

図3−3−1 東北の第四紀火山の火山列


 この区分は火山を構成する火山岩の鉱物組成や化学組成によるもので、おそらく火山の元であるマグマの性質を直接反映したものです。

 この火山列は、3−2で見た地形の火山列よりはるかに広範囲なものであり、平面配置に着目すると地形の火山列とは無関係にみえます。平面配置上は、「火山帯、火山域」とは調和的で、「火山帯、火山域」内のマグマの化学組成による分帯を行っていることになるでしょう。

 図3−3−1では、各火山列は、幅は狭いが非常に長く、島弧の軸に並行的であるという特徴がみられます。

 なお、上記資料によれば、東北の火山のこの化学組成の帯びは、第四紀より前の、新第三紀鮮新世の火山岩にもすでに同様の特長がみられるそうです。


3−3−2.他地域の第四紀火山の鉱物組成・化学成分による火山列

 日本の地質(共立出版)の東北以外の巻の火山の記述をみてみると、他地域でも、一般に、太平洋側でソレアイト系列の岩石が分布し、日本海側に向かってカルクアルカリ岩系の岩石となり、九州五島列島や山陰の日本海沿いではアルカリ岩系の岩石が分布する傾向があるようです。しかし、火山岩の化学組成は必ずしも単純ではなく、火山によっては、活動時期によって、組成が大きく変化している例もめずらしくないようです。化学組成による明快な火山列区分がされているのは東北地方のみです。


3−3−3.化学成分による火山列と地形の火山列の関係

 化学成分による火山列はマグマの組成の反映で、地下のより深い部分で、火山の元であるマグマがどう分布しているかを示しており、それに対して地形の火山列は3−2で述べたように、地下の相対的に浅い部分の断裂の反映であるとすれば、基本的には、両者が互いに無関係であるのは当然と考えます。